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さあ、呼吸を始めよう。
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異星間交流ついに果たされじ 夏のロケット、花火のようで


一瞬の光であった 書きかけの手帳はいつも閉ざされている


この場所に同時に点を打つ 星の昏さはきっと今だけのこと


静寂は音の聞こえぬことでなく君の鼓動のきこえることで


寝 ようかと話しかければ肩ごしに星座を繋ぐ点線が見え


穴という穴に小指を入れてみる たとえばレンズのあった場所とか


船を出すことはここでは禁止され 躓く人に無き羅針盤


UFO が君をさらっていきました ブルーハワイも溶けだす真夏


スクランブル交差点人人人が往 く あした死ぬひともいるんだろうな


屋上に寝ころぶ君の背中には翼はなくて終わる八月


悲しみが機雷のように待っている 鯨のうたう夜はなくても


誰のためでもなく淹れる珈琲は冷めるのが早い気がする孤独


ねえ、君はなんて云ったの? 占いがアシカになれといったあの朝


七月の魚はついに死に絶えてゆうぐれののちつづかぬ詩作


惑星の成り立ち知れば僕たちももっとぶつかり合えばいいのに


この夏も太陽ぎらりと燃えさかる  少年の持つナイフのように


飛ぶ蛍、りりりと光る夏至の夜の骨の白さを我は知らざり


あの雲がじきに大雨降らすだろうそうなる前に君の名を呼ぶ


蛍火がひとつふたつと消えてゆく誰も知 らないでしょうあなたも


朝方の雨などとうに忘れてる 何事もないように話そう

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かいじゅうの静かに眠る森にまで月の光は届きますよう


ゆうぐれのみずみちている水槽にレガートよりもスタッカートを


きっとぼくらタイムマシンにのりながらコカ・コーラを飲んでいるだろう


あの夏の百葉箱に置いてきたビー玉はまだ光は湛え


幻の星、球場の空に燃えまた望遠鏡が覗かれている


終末のスパゲッティはアルデンテ 滅びし人類(ひと)を待てり機械は


絶望のふりして涙流す夜はアイスクリーム溶けてしまうよ


三月のマフラー、君を巻き付けて僕の代わりに殺しておくれ


左手が離れたときにあの鐘が鳴りひびくのを僕は知ってた


歪なる心に似てる真夜中にさめざめと降る雨のかたちは


その鳥がはばたきやめたそのときにつらぬいていく素粒子もある


残雪も溶けてゆくから結局は辿り着けない未来もあって


宇宙から注ぐ光を遮れば孤独に冷えるゼリービーンズ


君が君であるなら僕は僕だろう 水素爆弾炸裂しても


人工の鳥が真上を翔んでても午後五時に鳴る『蛍の光』

小指から凍りついてく君はそのまま冬の結晶となる

キラキラと煌めく街は水死したサカナらが見し夢の出来事

水没の街から聞こえる信号が――ワタシハココニワタシハココニ

人がみな骨に見えてく夕暮れは水がゆっくり満ちてくような

ゆうやみがブルーチーズにはいりこみそれはかすかな苦みとなって

むすぶよりほどくほうがかんたんでだからあなたをほどいてばかり

地図帳のこことあそこを結びつけ「たった5センチじゃないか」なんて

ゆっくりと悲しみだけが結露して私を運ぶ冬の電車は

くしゃくしゃにこんがらがった結び目を一人でほぐして終わる一日

封筒が封を開けられず朽ちていく彼女はいつしか大人になって

結び目をつくれなかったから僕らこのままずっと他人なんだろ
ポラリスは遠くにありき今はもうないかもしれぬ海岸で見ゆ

きみがこの星の中心であるように静かに暮れる夏の理科室

不確かな速度でゆびがやわらかくなってC7も押さえられない

さびついたふたつの音叉共鳴す星のふるへをとめないように

アブダビに降る雪のことをおもへばほらひきがねが絞られていく

はげしさとやさしさをもつ雪よ降れ古い写真を隠してしまへ

左手に無数の糸をまきつけて僕らはいつか戦争へ行く

窓辺には窓辺の歌があるものさ 夜風をそっと伴奏にして

ゆふぐれのフラスコごしにみるきみはゆがんでもなおうつくしくある

みずぎわの白鳥たちが打つ波のひとつひとつにかくされた意味

この星のすべてのプールサイドからはじまる恋をみる渡り鳥

閉じこめられた猫よりもあいまいなわれがいてなお眩しい光
風鈴を鳴らしつづける風鈴屋 世界が海におおわれるまで


ぼんやりと街のはずれに生えている水銀灯でありたいわたし


こなゆきのみるみるふるは天界に蛾の老王の身をふるうわざ


いつまでも薬はにがいみどりめくめがねの玉をみがきにみがく


押しこんでぎしぎしかけたかけがねがひかるたとえば春の砂場に


いくとせののちあけがたにくる人は口にみどりの蝉をふくんで


白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく


みずうみの舟とその影ひらかれた莢のかたちに晩夏を運ぶ


秋の日のミルクスタンドに空瓶の光を立てて父みな帰る


さくらんぼ深紅の雨のように降るアルトの声の叔母のお皿に


牛乳瓶二本ならんでとうめいに牛乳瓶の神さまを待つ


てのひらに卵をうけたところからひずみはじめる星の重力


水に身をふかくさしこむよろこびのふとにんげんに似ているわたし


虚空からつかみとりては虚空へとはなつ詩人の手つき花火は


淹れたての麦茶が澄んでゆくまでを沈める寺に水泡立つ見ゆ


秋天の真青の襞にひとしずく真珠くるしく浮くまでを見つ  


もくもくと結び蒟蒻むすびつつたましいすこしねじれているか  


エヴァ・ブラウンそのくちびるの青きこと世界を敵と呼ぶひとといて  


まよなかにポストは鳴りぬ試供用石鹸ふかく落としこまれて  


ひともとの短歌を海に投げこんでこれが最後のばら園のばら


胃の底にいま銀時計まいおりて井戸の眠りをねむる肉体


麺麭という言(ことば)やさしく山をなす午前八時の街のパン籠


泉とはいかなるところ鹿の目をしているきっといまのわたしは


瞼とは貧しい衣 光を、とパイナップルに刃を入れるとき


抹香鯨(まっこう)の小骨しらべるしぐさにて煙草(シガレット)抜くきみも時間だ


人工衛星群れつどわせてほたるなすほのかな胸であった 地球は


こんなにもきれいにはずれる翅をもつ蝉はただひとたびの建物


あおむけに水から空へほうられていつかわたしは矢をもたぬ弓


甘美なるかたむきはありチェリストにてをはなさるるチェロのこころに


眼鏡屋は夕ぐれのため千枚のレンズをみがく(わたしはここだ)


水に降る雪のごとくにこなぐすりこころに受けてやがて忘れぬ


通過・通過・通過電車が連れてくる春はるかなるみどりの火種


雨はなぜしずくのかたちはらはらと春のあなたをうつくしくする


ひどい雨 おおひどい雨 ましろなる瞑目をいま街はよろこぶ


ふうらりと焼きたてパンの列につく明日という日もあるものとして


ヘンゼルとグレーテルだね 段ボールだらけの春の闇にねむれば


アッシジの聖者というは第三の性の声もつ者か小鳥よ


敷石のあいだあいだのハルジョオンなにかがもっとよくなるように


むらさきの雲が窓まで下りてきておそろし春の祭典おそろし


ふれられぬはだれゆきふる城はありワインボトルのラベルの奥に


窓を開け放てば冬がなだれきてわたしの耳は大空の耳


舌の上を詩篇ひとひら泳ぎだす未知の都のあかりの方へ


真夜中の豆電球のこんこんとこの世の泉この世にひとり


うつせみがきょうもたくさんハンガーにわたしを脱いだわたしを掛ける


どんなにかさびしい白い指先で置きたまいしか地球に富士を


吊革にあたまつければものすごい速さで離れゆくものばかり


ゆっくりとミシンを漕げばゆっくりと銀のお告げが滴りおちる


袖口であつあつの鍋つかみざまいのちのはてへはこぶ湯豆腐


木枯らしの声にまぎれて公園をよぎる駱駝はおるかいな月


手袋をいつも片方なくすのとなげくあなたがいちばん綺麗


夕雲の指をもたないにんげんと交わる春のからだはさびし


UFJ、みずほ、あさひをへめぐりてゆく間のまるでたからもの 雪


くる秋の銀の消防栓のうえ帽子を忘れましたねあなた


宇宙塵うっすらふりつもるけはいレポート用紙の緑の罫に


もうわたしは朝の光りだ聞こえない人魚の歌が窓辺にさわぐ


草原が薄目をあけるおりおりの水おと ここも銀河のほとり


青空が折りたたまれてあるまひる曲がり角とはいたましい場所


風を聞く 踵をなくしてしまうまで帰るところが海と知るまで


おびただしい星におびえる子もやがておぼえるだろう目の閉じ方を


レモンレモン床いっぱいの不発弾ひとつひとつをひろうかの日々


こうこうと回送電車ながれゆくゆうべの宇宙のうつろを抱いて


ロケットのかがやくあしたあのひとはひとりで泣いて忘れるのだろう


ドロップスちいさな舌に溶けるまで呼び合う線路のあちらとこちら


昼ふかく浄土に雨の降るを待つ錦糸卵を切りそろえつつ


冬の夜の百物語はじめたるひとの内耳のうすあかりかな


胸おもくまろくかかえて鳥たちははつなつ空の果実となりぬ


乳ふさをもたない鳥としてあるくぼくを青空が突きぬけてゆく


ふゆぞらふかく咬みあう枝のあらわにもぼくらはうつくしきコンポジション


定住のならいさびしいこの星のおもてをあゆむ庭から庭へ


ゆくりなく夕ぐれあふれ街じゅうの眼鏡のレンズふるえはじめる


ふたしかな星座のようにきみがいる団地を抱いてうつくしい街


あしのうら風に吹かせてあたしたち二度と交わらない宇宙船


敷石に触れるさくらのはなびらの肉片ほどの熱さか死期は


腿ふとく風の男に騎られてはみどりの声を帯びゆくさくら


風の舌かくまで青く挿しこまれ五月の星は襞をふかくす


桐の花ふりてふれくるふところをおそるるにこのうすむらさきは


生きのびたひとの眼窩よ あおじろくひかる夜空のひとすみに水


箱蜜柑ざわめきいたり星ほどの冷えなしながら夜の廊下に


もくもくと結び蒟蒻むすびつつたましいすこしねじれているか


地震(ない)深し銀のボウルにたふたふとココアパウダーふりこぼすとき


本ゆずりうけたるのちを死でうすく貼りあわされた春空、われら


唐ひとの骨がほんのりにおうまでカップを載せたてのひら はだか


神さまのかたち知らないままに来て驢馬とわたしとおるがんの前


いらんかね耳いらんかね 青空の奥のおるがんうるわしい日に

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