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さあ、呼吸を始めよう。
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ヘッドホンしたままぼくの話から海鳥がとびたつのをみてる


身をもたげ世界最後のガス燈をともしにゆかねばならぬ ひとりで


留守電にあった 潜ったときにするこぽっこぽこぽこぽっという音


包丁で彼氏を刺したあなたから林檎の花がこぼれてました


みずいろのつばさのうらをみせていたむしりとられるとはおもわずに


パステルカラーのゼムクリップでぼくたちをファイルしてしまえればいいのに


へたなピアノがきこえてきたらもうぼくが夕焼けをあきらめたとおもえ


ねえ、きみを雪がつつんだその夜に国境を鯱はこえただろうか


ぼくの求めたたったひとつを持ってきた冬のウェイトレスに拍手を


宇宙の野戦病院のナイチンゲール きっとあなたもいつかなるのだ


クリスマスはなんて遠いの・・・・・・スリーブレスTシャツで川岸を歩けば


夏のガソリンスタンドにいまこの国のすべてがあるとおもう星の夜


中国も天国もここからはまだ遠いから船に乗らなくてはね


六月の月をホテルの窓にみてはるかなりきみのいる世界の樹


夢のすべてが南へかえりおえたころまばたきをする冬の翼よ

もうじっとしていられないミミズクはあれはさよならを言いにゆくのよ
 

きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある


きみをとらえて本当ははなしたくなくて夕闇の樹に風はあふれる


この塩がガラスをのぼってゆくという嘘をあなたは信じてくれた


きっときみがぼくのまぶたであったのだ 海岸線に降りだす小雨


ユニヴァーサル野球協会のピッチャーになりたいね無得点の今宵は


かなしみは光ファイバー、突然に降りくるさみだれにおどろくな

 
レッドソックス敗けてしまった夜だから走れウサギ! 鐘が鳴り止むまで

  
ネル・フィルターひたされている水にわが朝日がつくるP・K・ディック忌

  
さよならの変わりに走者一掃の打球の消えてゆきし草地を

  
「ぼくはぼくのからだの統治にしくじりしうつろな植民地司令官」

  
雨の日にぼくとピアノを乗せ走れ イルカのごとき電気機関車


ベルマークキスマークベルマークさて、二者択一のリリアン・ギッシュ


だめだったプランひとつをいまきみが入れた真水のコップに話す


きみが首にかけてる赤いホイッスル 誰にもみえない戦争もある


草のかげで眠りたいのにどこもみな螢いてああもう、バスが出る



海とパンがモーニングサーヴィスのそのうすみどりの真夏の喫茶店


冬をまく否マフラーをまきつけるきみに黒田三郎詩集を


生きてなすことの水辺におしよせてざわめきやまぬ海螢の群れ


天像は冷えゆく秋の枯草の虚空に浮かぶわが月球儀


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