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さあ、呼吸を始めよう。
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眠れない夜には本を読む。
例えば、詩集や歌集を読む。

言葉が頭に氾濫する。
スパークする。
発火する。

詩のフレーズに、触発されて新しい言葉が産まれてくる。

それを制御することは、できない。

抽象だけで、あるいはイメージだけで、形にならないからだ。

もっと具象がほしい。
形ある言葉がほしい。
匂いある言葉がほしい。
味わいのある言葉がほしい。
手で触れられて、重さのある言葉がほしい。

誰のものでもない自分だけの言葉がほしい。

自分だけの。
自分だけ。
自分。




自分の言葉で語りたい。
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僕はひとりさ。
けれど世界はきれいなのさ。
うつ伏せになって眠るのさ。
けれど夢は見ないのさ。

そこに君はいないのさ。
明日は曇りさ。
僕はひとりさ。

僕はひとりなのさ。
明日は夢を見たいのさ。
きみと添い寝がしたいのさ。


添い寝が、したいのさ。
僕はひとりさ。
けれど世界はきれいなのさ。
うつ伏せになって眠るのさ。
けれど夢は見ないのさ。

そこに君はいないのさ。
明日は曇りさ。
僕はひとりさ。

僕はひとりなのさ。
明日は夢を見たいのさ。
きみと添い寝がしたいのさ。


添い寝が、したいのさ。
 ぼくの想いはあの人には届かないのだね、きっと、必ず、絶対に。だって誰も超能力者ではないから。伝えないと分からないんだ。

 会ったことのない人。話したことのない人。本名も知らない人。あなたが幸せならぼくも幸せだ、なんてことが云えるならいいのだけど無理みたい。

 だって、心臓の拍動が切なく響く。その度にあなたが一人ならばいいと思ってしまうぼくはどうしたらいい。こんな時間にこんな文章を打っているだけか。

 あなたが今、誰のとなりで寝ているか知らないが、ぼくは独り。晩夏の夜。あなたは今、幸せだろうか。ぼくはいま幸せだろうか。

 ぼくの想いは決して届くことはない、という事実。あなたにこのことを伝える勇気もないぼくは、そっとこんな文章を書いている。

 顔も知らないあなたのことを考えると胸の拍動が痛いほど高まる、という事実。

 あなたはきっと誰かの腕の中。そんなことを考えてばかりのぼくは惨めで卑しくて、極まっている。

 あなたがテレパスでなくてよかったな。

 ぼくはぼくの幸せを祈る。
虫の声をきいていると、
夜のもひとつ向こうに
静かな世界があって、
そこにかれらが
なかよく暮らしているようだ。
ぼくも、くらい夜を通って
あかるいところへ行こう。


       (菅原克己)
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